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​CHINA

月神の贈り物

ステージ 2

ストーリー Wilson Ye

翻訳・編集: CLAチーム

イラストレーション:ファレン・フェビオラ

プロローグ 

シュンの父は明の国の王様でした。彼はお城の門から、人々に話をしていました。  

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「今日、私たちがここにいることを嬉しく思います。この国では今、多くの人が病気になっています。しかし、薬が足りず、これ以上病気の人を治すことができません。そこで私は薬を探すため、国外に部下を送ることにしました。」 

「素晴らしい王様! 明はいい国だ!」と人々は何度も言いました。

第一章 

ある日、シュンが寝ていると知らない人が入ってきました。 

 

「私はカンです。王様のために働いています。」彼はそう言って、金色の石をシュンに渡しました。 

 

「この石は金を作るために使います。毎日たくさん働いているのに、王様は私に怒っています。助けてください!」と彼は言いました。 

 

すると、王様と大臣であるタンが部屋に入ってきました。 

 

「この男を部屋から出してください!」シュンは言いました。 

 

「助けてください! 私にはこの病気を治す方法がわかりません。」カンは助けを求めましたが、王様とその部下たちはカンをどこかに連れて行きました。 

 

シュンは考えもせずに石を服に入れました。 

 

「あの人はどうなるんですか?」シュンはタンに聞きました。 

 

「病院に行って病気を治します。私は薬を探すため、元へ行きます。」タンは答えました。 

 

「私も一緒に行きたいです!」とシュンは言いました。 

 

しかし、王様は「それはだめです」と言いました。 

 

タンは「シュン様、外は危険です。お父様はあなたを守ろうとしているのです」と言いました。 

 

「私は大人です。自分のことは自分でできます。私は明の外に出たことがないのです!」シュンは言いました。 

 

その夜シュンは部屋を出て、一人で病院に行ってみることにしました。 

第二章 

シュンが北の方に向かうと、病院がありました。 

 

「満月です! 注意してください!」 

 

「気をつけて! この男は変わりました!」 

 

人々の声が聞こえてきました。すると、大きな生き物が出てきました。それがシュンの方に歩いてきました。 

 

「やめて…」とシュンは言いました。 

 

その生き物はライオンのようでした。しかしその目は、彼女が部屋で見たあの男の目でした。 

 

「彼を射て!」誰かが走ってきました。 

 

弓矢が飛んできて、カンに当たりました。彼は倒れてしまいました。 

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シュンはカンを助けようとしました。しかし人々が来て彼を連れ去りました。 

 

突然、シュンは頭が痛くなり、そこに倒れてしまいました。 

 

​​❊​ 

 

シュンはタンの声で起きました。「シュン様、どういうつもりだったのですか? さあ、これを飲んでください」タンはそう言って、シュンにお茶を渡しました。 

 

「タン、説明は難しいのですが…」シュンはお茶を飲みました。そして、すべてをタンに話しました。しかし、石のことは言いませんでした。 

 

「シュン様、あなたも病気になっています」と言うと、タンはシュンの服から見つけた石を見せました。 

 

「残念ながら、あなたはもうここにいられません。私と一緒に行きましょう。病気を治す方法を探すのです。」タンは言いました。 

第三章

シュンとタンは旅に出ました。元に行くには、雪山を越えなければなりません。山に登り始めると、雪に足を止められました。 

 

「馬はこれ以上進めません。ここから歩きましょう!」タンは言いました。 

「馬の荷物を軽くしないといけません!」シュンは言いました。 

 

シュンが荷物を開けると、たくさんの武器が出てきました。 

「これは何ですか?」シュンはタンに聞きました。 

「身を守るためです。」タンが答えました。 

「本当のことを言ってください。病気を治す方法を探すのではなかったのですか? これは元を攻めるための旅なのですか?」 

「そうです。元を奪うのです。」タンは言いました。 

「どうしてですか? 明の病人たちはどうなるのです?」 

「もう行きましょう、シュン様」 

「私は帰ります」 

「行きます、と言ったでしょう!」タンが大きい声で言いました。 

 

シュンは赤くなり、急に体が言われたとおりに動き始めました。 

「何を…したのですか?」シュンは、タンが自分を動かしていることに気づきました。 

「シュン様は何も知らないのです。」 

「私を…、動かさないで!」シュンはまっすぐ歩こうとしました。「やめて!」と叫ぶと、タンへの怒りで胸が熱くなりました。足に力が入り、目が赤くなりました。すると突然、シュンは大きな生き物に変わり、タンとその部下たちに向かいました。そして、彼女は雪の激しい山の中に走っていきました。 

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タンは雪の中に立って言いました。「逃しはしませんよ。必ずあなたを見つけます!」雪がさらに激しくなりました。タンとその部下たちは山を下り、春を待つしかありませんでした。

第四章 

シュンは目を覚ましました。 

 

「起きたね」と知らない老人が言いました。 

「ここはどこ?」とシュンは尋ねました。 

「ここは元だ」と老人は答えました。 

「どういうことですか?」シュンはびっくりしました。 

「あなたは明から来ましたね。タンという男と、その部下たちと一緒に」と彼は言いました。 

 

老人の名はゼと言いました。ゼは、タンが元の出身だとシュンに教えました。元を出る前、タンがどんな人だったのかを説明しました。タンはお金が好きで性格が悪く、魔法のお茶を使って人を動かすことができました。 

 

「タンは元から出ていきました。彼がルナの石を悪いことに使ったからです」ゼは言いました。 

「ルナ?」とシュンが聞きました。 

「ルナは古い言葉で『ユエ』と言います。月の女王という意味です。」 

「ルナは病気を起こすものですか?」 

「いいえ。ルナこそ病気を治すものです。心を静かにすることができれば、病気は治せます。戦いの練習をしてルナを信じることができれば、あなたの病気も治るでしょう。やってみますか?」 

「やってみたいです!」シュンは迷うことなく言いました。 

 

​​❊​ 

 

シュンは戦いが上手でした。練習場にはたくさんの木の板がありました。そのうちのいくつかを壊すのは簡単でした。しかし、中央の輪にある一枚だけはどうしても壊せませんでした。 

 

「戦いは一日で学べるものではありません。その板を壊せるまで練習しなさい」とゼは言いました。 

 

シュンは何日も練習をしました。そしてある日、彼女は中央の板を壊すことができました。 

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「よくやりました」とゼは言いました。 

 

ゼはシュンを山登りに連れていきました。すると、そこにはたくさんの輝く石がありました。 

 

「ここが、月神のための秘密の場所です。この石は、ルナが残していったもので、昔はもっとたくさんありました。しかし、タンがたくさん持っていってしまいました…」とゼは言いました。 

 

シュンはカンの持っていた石を思い出しました。悪いことだとわかっていましたが、シュンもひとつ欲しいと思いました。 

第五章 

ある晩、満月が上ると、ゼは釣竿を取り出しました。 

 

「今夜の課題は釣りです」とゼは言いました。 

 

シュンはびっくりして座りました。 

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「ルナを信用するものたちは、ルナから大きな力をもらえます」ゼは言いました。 

 

すると、ゼの釣竿が動き、大きな魚が飛び跳ねました。ゼは魚をつかみました。 

 

「その力がわかりますか?」シュンは、カンの力を思い出しました。 

「だから雪の中で私は頭がおかしくなったのですか?」 

「違います。あなたが得た力のせいです。」 

 

ゼはゆっくりと魚から針を取りました。 

 

「満月の夜、体が変わるかもしれません。頭がおかしくなる人もいますが、正しい心を持つ人は大丈夫です。あなたにそれができますか?」ゼはそう言って、魚を湖に戻しました。 

 

「なぜ、魚を戻すのですか?」シュンは尋ねました。 

 

「タンは魚のようです。もっと欲しいと思う気持ちにつかまったのです。あなたには、その気持ちから自由になってほしい」とゼは答えました。 

 

​​❊​ 

 

急に村から叫び声が聞こえました。タンの軍隊が村に来たのです。シュンは戦いに駆けつけました。練習のおかげで、シュンは村の人たちを助けることができました。 

 

「タン、出てきなさい!」シュンは大きい声で言いました。 

「こんにちは、シュン様」暗い所から大きな影が現れました。それは蛇の頭と人間の足を持っていました。 

「タン、どうして…」 

「病気にかかってから、私は強くなった! 誰にも止められないぞ!」タンはシュンに向かって走ってきました。その時、ゼが二人の間に飛び込み、彼を止めました。タンは笑って、ゼを食べようと口を開けました。 

「先生!」驚いたシュンは半分ライオンの生き物に変身してしまいました。シュンは二人にに飛びかかり、ゼを助けました。 

「先生、大丈夫ですか?」 

「これは彼の罠だ。怒ってはいけない…」ゼはそう言うと、目を閉じました。 

「先生、先生!」シュンはゼの横で涙を流しました。 

「あなたが病気だとわかったから、私はあなたを連れて来たのです。私と力を合わせれば、世界をおもいのままにできたでしょうに!」タンは言いました。 

「あなたは私の先生を殺しました! これがあなたのしたかったことですか!?」シュンは言いました。 

「いいえ! まだ終わっていません! あの秘密の石をもっと取って、もっと多くの人を病気にするのです! そしてその人々を私の仲間にするのです!」 

「そんなことはさせません!」シュンがタンを打ちました。 

「私と父に嘘をつきましたね! 明と元の人々に悪いことをしましたね!」シュンは鋭い爪で何度もタンを激しく打ちました。 

「もっとしろ、続けろ、続けるんだ! 俺を殺せ!」タンは大きな声で言いました。彼は逃げません。タンは、シュンを怒らせて頭をおかしくしてやろうと考えていました。 

 

シュンの顔と手はタンの血で汚れていました。それは、恐ろしい動物が弱い動物をいためつけるかのようでした。 

 

その時、音楽が流れてきました。村の人たちが楽器を奏でながら「ルナ、どうか怒らないでください」と一緒に歌っていました。 

 

すると、シュンは戦うのをやめ、人間に戻りました。 

 

「聞くな! 殺せ! この村人たちは何もわかってないのだ!」タンは叫びました。 

「何もわかっていない人はあなただけです! 私はここに来て、明の外の世界の良さを知りました。気持ちを静かにすることを学びました。私はこの力を正しいことのために使います。二度とあなたの言うことは聞きません。小さい頃はいろいろと世話してくれてありがとう。今このまま出ていくなら、行かせてあげましょう」シュンは言いました。 

「くそっ! また来るからな! シャーッ…」タンは怒りながら、逃げていきました。 

 

​​❊​ 

 

シュンはゼが倒れた場所に走りました。 

 

「先生、私はあなたの言うことを聞きました」シュンは服から二つの石を出しました。 

「これは私が取った石です。きっと他に病気を治す方法はあるはずです。先生、目を覚ましてください!」シュンは泣きながら言いました。すると、ゼは目を覚ましました。 

「先生、生きていたのですね!」シュンは言いました。 

「石のことはわかっていましたよ。正直に言ってくれてありがとう。少し静かにしてもいいですか?」ゼは目を閉じて体を休めました。 

「はい!」シュンはゼのとなりで、横になって星を見ました。 

「そろそろ、あなたも自分の国に帰りなさい」ゼは言いました。 

「わかりました。国に戻り、父と人々を助けます。あっ、見てください! また月が出ています! なんて明るいのでしょう!」 

「ああ、そのとおりですね。」 

THE END

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